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2010年2月 3日 (水)

またまた・消えた弥生時代

移住元の浜松市博物館の鈴木敏則さんはこのようにまとめている。
「こうした遺跡が他にも厚木市御屋敷添遺跡とか寒川町高田遺跡とか大蔵東原遺跡などで確認されています。相当大規模に相模の地へ、しかも短期間に広域的に、三河・遠江からヒトが入ってきているとしか思われないわけです西川修一さんもいわれているように、たとえば武装集団や侵略者が来たという状況ではないだろう.そういった集団であれば、武器と鍋釜だけもってくればいいわけですが、そうしたものだけでなく、生活文化一切合財持って移動してきているわけですので、どうも家族を単位にした集団が短期間に入ってきていると想定せざるを得ないわけです」

「すると、相模の地になぜ遠くの地域からヒトが入ってきたのかというのが問題になるわけです.相模の地には、後期後半には独自の土器様式がない.ないというよりは、どうも人口が少ない状況が生まれていたのではないか.そのために、遠江や三河からの入植が容易になされたのではないかと考えているわけです」

相模の人口が減ったことを三河などの人が、いち早く察知している。当時、三河や遠江は人口過剰だった。遺跡の状況を見ると、海上ルートでヒトが頻繁に移動したり交流をしていた。そのため情報入手は可能だった。

さがみ(当時は相模とはもちろん言っていない)はヒトがいなくなったからチャンスだ。移り住めば米がたらふく食えるぞ!と移住を募ったのかもしれない。

東京湾の内陸部についてはこう見ている。
「菊川式土器は、相模湾の西の方に入って、相模の土器様式に影響を及ぼしているようです。そしてさらに東へ移動し、東京都新宿区の下戸塚遺跡では、菊川式土器を持った人が開村に関わったようです.荒川流域の板橋区とか埼玉県の和光市付近にも、菊川式土器がたくさん出ているわけで、かなりの量になります。影響の強さや土器量から考えて、当然ヒトの移動を想定しなければなりません。ヒトの移動も、やはり当地の情報が遠江にもたらされていたからこそできたと考えているわけです」。

シンポジウムは岡本孝之さんがまとめを述べた。
「弥生文化は基本的には南関東で止まっていますから、後期は北に拡大しようとするその方法をめぐって各地の勢力がいろいろな試行錯誤、模索をするという段階なのではないかと考えています。……それが古墳時代になるとそのジレンマが一挙に解放されて、東北中部の宮城県仙台市を越えた辺りまで拡大することになります。…北へ広がろうとする弥生文化以来の運動は、奈良・平安時代のいわゆる蝦夷征伐、坂上田村麻呂などの歴史とつながっていくのです」。

縄文時代がおわって、人口が激減する現象が出現した。相模については富士山の噴火と見る人もいる。では、武藏ことに多摩はどうか。弥生を経ずにいきなり古墳時代に入ったように見える。まず田園調布や狛江の古墳群、これがすたれるとさきたま古墳群など北に中心が移る。

「北へ広がろうとする弥生の運動」とはなにか。文化だけが伝播したのか。縄文文化を保ってきた人たちが受け入れたのか。このシンポジウムから理解すると、舟で東京湾までやってきた菊川の人たちがやがて、多摩川や荒川をさかのぼり、西から伝わってきた古墳文化を定着させたのか。それともまた別の一派が古墳文化を伝えたのか。どうも、無人の地に古墳文化を根付かせた人たちがいたような気がしてならない。多摩の文化には断絶がありそうだ。その原因は不明だ。

以上、いろいろと考えてきたが、教科書で習った縄文から弥生、そして古墳という段階は多摩では成立しない。こうした段階は西の歴史だ。東の私も西の歴史がさも列島全体の歴史のように覚え込まされていた。権力中心の歴史叙述ではそうならざるを得ないのだろうけど、せめて副読本では多摩の空白時代などの解説があっても良かった。さらに東北の人たちは、西の歴史をどう受け取っているのだろう。それは自分たちの歴史ではない。列島を支配した人を中心にした記述だと断ってから、西の歴史を教える必要がある。

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